約2年の世界一周を終えたあと、私はふと、こんなことを思った。
自分で考えずに、もっといろんな体験ができないかな?
そこで思いついたのが——
「ピンクのつなぎで旅してみよう!」 というアイデアだった。
つなぎの前には、
“talk to me about your culture for Japanese children”
と英語でプリントした。

今思うと、よくこんな恥ずかしいことができたなって、自分でも驚く。
しかも最初の渡航先がフランス。よりによってパリで、このつなぎを着て歩くことになるなんて(笑)
でも、準備している期間は本当にワクワクしていた。
「どうしよう、めっちゃ楽しいことが起きちゃうかもしれない!」
そう思うと、心がずっと踊っていた。
まずはつなぎ


実はこのつなぎ、母が作ってくれた。
「嫌だ」と言いながら、結局3着も(笑)
今振り返ると不思議だなと思う。
私が毎日「作って!作って!」とせがんでも、
普通なら「そんな恥ずかしいことやめなさい」って止めるはずなのに。
(フランスに着いてからは、正直止めてほしかったけど…笑)
プリントは姉の友達がしてくれた。
身近な人たちの手で少しずつ形になっていった。
日本の本

これは、話しかけられたときの“会話のきっかけ”に使うための小道具。
日本の文化を写真と英語で紹介する本だった。
当時の私の英語力は、言いたいことを“要求する”くらいしかできなかったので、
説明はこの本に任せることにした。
この本を全力で手伝ってくれたのが、子どものころからの親友。
彼女も止めるどころか、めちゃくちゃ協力的だった。
撮影中も、いろんなハプニングがあった。
凧揚げのシーンでは、私たちが全然凧を上げられず泣きそうになっていたら、
通りかかったおじさんが「絶対落とすなよ!」と言って5秒で上げてくれた。
下町のおじさんは、やっぱり最高だ。
華道のシーンでは、親友のお母さんが着物に着替えて、
昔使っていた道具を出してきて撮影を手伝ってくれた。
みんなが楽しそうで、私もその空気に包まれていた。
だから、“恥ずかしい”なんて気持ちは1ミリもなかった。
毎日が楽しくて、「これを持っていったら、外国の人たちが喜んでくれる!」とワクワクしていた。
そして、巻物

もうひとつのアイテムは“巻物”。
日本の四季を伝えたくて、1年間を1枚の布に描いた。
最初は紙で作るつもりだったけど、母が
「紙だとすぐぐちゃぐちゃになるから、布にしたらいいじゃない」
と言ってくれて、完成した。
この絵を描いてくれたのは、姫路のアーティスト・ブドウちゃん。
年末年始の忙しい時期に、破格で引き受けてくれて、本当にありがたかった。
とてもかわいくて、あたたかい絵だった。
ただ、出発の1時間前まで作業が終わらず、私はイライラして家族に八つ当たり。
出発前は最悪のムード(笑)
でも、小学校からの友人・高橋くん夫妻が空港まで見送りに来てくれて、
そのおかげで最後は笑顔で旅立つことができた。
私の人生の中で困ったときの高橋君です。


今こうしてブログを書いていると、改めて思う。
私の親友たちは、本当に最高だった。
あの時代、まだIllustratorもPhotoshopも誰でも使える時代じゃなかったのに、
彼女は本を作るために勉強して、全部やってくれた。
私は隣で座って見ていただけ(笑)
本当に、私はいつだってラッキーガールだったな。
フランスに着いて、最初に起きた出来事は——
次回に続きます。

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