ピンクのつなぎで旅が始まった
ピンクのつなぎを着て、最初に降り立った街はパリだった。
今思えば「何やってんだろう…」と笑ってしまうけれど、当時は「ヨーロッパを回るならパリから入ったほうがいいかな」くらいの軽い気持ちだったと思う。
目立ってハプニングを引き寄せよう!なんて意気込んでいたはずなのに、実際は恥ずかしすぎて「誰にも見られたくない…」とこっそり歩いていた(笑)。
しかも、持っている服はそのピンクのつなぎと、
「talk to me about your culture for Japanese children」と書かれたTシャツだけ。
まるで罰ゲームのようなスタートだった。
「あなたのおかげで日本に興味を持った」
そんな恥ずかしい旅支度でも、不思議とハプニングは起こってくれる。
特に多かったのは、「あなたのおかげで日本に興味を持った」という言葉。
今考えると「ピンクで日本代表って大丈夫だったのか?」と思うけれど(笑)、
その色がきっかけで、誰かの心に小さな火が灯ったなら悪くない。
言葉が通じなくても、心は通じる
特に忘れられないのは、フランス北西部の小さな町・ラニオンでの出来事。
ホテルを探していた私は、通りがかりの女性に道を聞いた。
フランスでは驚くほど英語が通じない。
その女性も英語が苦手だったけれど、「説明できないから、連れていく」と言って一緒に歩き出した。
15分ほど歩きながら、彼女は私のピンクのつなぎをとても気に入ってくれたようだった。
お互いの言葉はわからないけれど、笑顔で通じ合っていた。
手料理がつないだ“文化の橋”
やっとホテルに着いたものの、なぜか18時までクローズ。
仕方なく散歩をして、18時過ぎに戻ると、ホテルの前に背の高い男性が立っていた。
「こんにちは。りのこさんですか?今日、うちの奥さんに会いませんでしたか?」
聞けば、昼間道を案内してくれた女性のご主人だった。
「奥さんが、あなたを家に連れてきてほしいと言っています」
そう言われて、私は迷わずついて行った。
家に着くと、キッチンからとても良い匂いがしていた。
奥さんは嬉しそうに微笑み、旦那さんが通訳してくれた。
「彼女は、あなたにこの街の食文化を体験してほしくて料理を作ったんです。」
胸がいっぱいになった。
言葉は通じなくても、想いはちゃんと届く。
旅って、そういう奇跡を見せてくれる。
次回予告
次回は――
「娘さんの学校に招かれた話」。
そこでもまた、言葉を超えた“あたたかい出会い”が待っていた。
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